Dick Hyman Mary Mayo / Moon Gas / 1963
スペースモンドの超名盤!世紀の珍盤!のっけからシーケンサーにエコーが掛かった世界初(?)のダブビートに頭イカれます。初期の電子音楽は現代音楽的な少し小難しいものが多いものの、本作みたくポップス的な何かに電子イディオムを落とし込んだのは、他にレイスコの「Soothing Sounds For Baby」くらいしか浮かびません。
Harald Sæverud, Jan Henrik Kayser / Harald Sæverud / 1981
ノルウェーの作曲家Harald Sæverudの作品集。A面はピアノソロ、B面はピアノコンチェルト。特にピアノソロの方が素晴らしい。派手さはないのですが、5線譜にそって水彩絵具を垂らしていったかのような透明感のある澄んだ楽曲はこれまでに聴いた事の無い響きでした。
The Concert Co., / Something For Everybody's Mother/ 1974
個人的に今年のキングオブ100円レコ。詳細は不明ですがライナーから...NYのヒッピーカルト集団が作ったミュージカル音楽のようですが、各所に散りばめられた美メロたちに拍子抜けしました。特に「みんなカリフォルニアに行っちまった」とか歌ってる(?)A-3は本当に最高すぎるので、お金持ちになったら7インチシングルカットしたいです。B面は組曲。
Alan Skidmore Quintet / TCB / 1970
UKジャズの重鎮テナー奏者。モード、フリーで手詰まったと思われたそれまでのアフロアフリカンなジャズから吹っ切れ自分たちの言葉で自分たちの音楽に組み直した!というのにエネルギーを感じました。John Taylor Trioをバックにアグレッシブな演奏を聴かせますが、A-2でしっかり落としてくる辺がイギリス人らしくて憎いです。
Rabindra Danks / All I See Is You / 1973
名門TakomaのSSW部門DEVIより発表された全2枚のレコードのうちの一枚。余りに大好き過ぎて自分が出たラジオで「好きな曲をかけて良い!」と言われたときはこれのA-1を回しました。ところで彼はこのアルバムを出して以来、音楽の世界から足を洗ってしまったようで消息がわかりませんが...日本在住のポップアート画家に同姓同名の人物がいるので、まさか....
Kevin Roth / Somebody Give Me Direction / 1976
アメリカの良心Folkwaysより。ダルシマー奏者、SSW。小編成のフォーキーで地味な演奏に彼の男臭いボーカル、実に味わい深いその余韻に浸りながら盤をひっくり返せば聴こえるダルシマーに絡む(Weather Report期のZawinulみたいな)moog!肩すかしを食らいます。一歩間違えてるものの、いやこれが絶妙にかっこよい。それからまた何事も無かったようにアコースティックな演奏に戻ります。
László Sáry / The Voice Of Time / 1990
ハンガリーが誇るミニマルの巨匠László Sáry。国営レーベルから発表されたとはにわか信じ難い。A-1の爆音ミニマルは完全にとんでます。A-5の口笛が入る静かなピアノの小曲もおもしろい。他にも女性コーラスによるミニマルカノンやシンキングボールを使った瞑想音楽など...ラストのストリングス曲は短いドローンがひたすら繰り返され静かに境界が淀んでいきます。
Alain Goraguer / La Planète Sauvage / 1973
René Lalouxのアニメ映画「La Planète sauvage」のサントラ。音楽を手がけたAlain Goraguerはもともとバップなど演奏していたピアニスト、アレンジャーだが、ここで聴けるのはアニメの世界を体現したヘビーサイケプログレ。Archimedes Badkar / Badrock För Barn I Alla Åldrar / 1975
今年の収穫と言えばやはりこのバンドとの出会いであります。60年代、ドルフィーやオーネットなどアフロアメリカンのフリー系ミュージシャンが欧州へ傾れ込む。ここで現地の若いミュージシャンたちに与えた影響は図りし得ない。BadkarのメンバーたちはDon Cherryが北欧スウェーデンで活動していた際に交わっている(この時の映像が奇跡的タージマハル旅行団の記録映画の一コマに残されている!)。そんなスウェーデンのアンダーグラウンドなミュージシャン、Per Tjernberg、Bengt Bergerなどを中心に結成されたのこの世にも奇妙な音楽を奏でるバンド。北欧トラッドからバルカン音楽、アラビア音楽、アフリカ音楽、フリーインプロ、ミニマル、ジャズ、ロック、フォーク、サイケ...半端じゃない完成度のチャンポン音楽。
さてさて一般に世界中のあらゆる音楽を呑み込み昇華させた2ndが名盤と誉れ高いですが、この荒削りな1stも最高です。音楽的な含みも然ることながら、音響遊びさせてもセンス良いです。ちなみにA面B面ともに最後にループトラックが刻まれています。うーんこの音楽リアルタイムにどう評価されたのか興味深いです。
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