2012年10月12日金曜日

Charles Lloyd - The Water Is Wide

"The Most Beautiful Sound Next To Silence (静寂の次に美しい音楽)"

ジャズから現代音楽、バロックなど幅広いラインナップを取り揃える
ドイツ"ECM Records"の特徴的なサウンドを一言で表す際によく持ち出される言葉です。
ECMからリリースされるレコードはジャンルに関わらず一貫してこのコンセプトが貫き通されています。

室内楽的なスマートなアンサンブル、ほんのり残響のかかったサウンド、透き通る水をイメージさせられます。

そして音楽性もさることながら、その美しいアートワーク(こちらも一貫してECM色)にも定評のあります。


今回はそんなECMレーベルのなかのお気に入りの1枚を紹介したいと思います。

The Water Is Wide/Charles Lloyd(Ts)(ECM 1734) - Recorded December 1999. 
左から John Abercrombie(G), Charles Lloyd(Ts),Billy Higgins(Ds),Brad Mehldau(P),Larry Grenadier(B) 



Charles Lloyd (Tennor Sax)の2000年作。駆け出し(?)のBrad Mehldau(Piano)が参加してる辺が興味深く、これを聴けるというだけでも価値ある1枚です。John Abercrombie(Guitar)参加の作品も10枚近く持っていますがここでの演奏はピカイチ、音数をしぼった渋い演奏が良い味を出しております。

さて簡単にチャールズさんの紹介を。
メンフィス出身。キャリアは古く50年代よりB. B. King, Howlin' Wolfなどのブルースマンの録音に参加。60年代後半に自身のカルテットを結成。メンバーは Keith Jarrett(Pf)、Cecil McBee(B)、Jack DeJohnette(Dr)。コルトレーン亡き後に後継者として名声を獲得します。意外な所で70年代のThe Beach Boysのツアーに同行していたりします。80年代に隠遁生活に入りますが、89年ECMレコードから復帰作をリリース。その後現在に至るまで同レーベルからコンスタンスにCDをリリースしていきます。

チャールズさんの真っ白いヒゲ、丸っこいサングラス、斜めに構えた独特のフォームでサックスを演奏する姿は一度目にすると忘れられないと思います。


さて本作ですが同じく南部出身Ray Charlesの「Georgia」や、タイトルとなったアイルランド民謡の「The Water Is Wide」、そして彼が敬愛しているEllingtonの作品などのカバーと、自身のオリジナル曲がおよそ半々の割合で収録されています。

大半がバラード曲であり彼の作品の中では割に人懐っこい作品だと思います。

そしてなんと言っても、歳を重ねて行くごとに深みの増すCharles Lloydの演奏は世界で一番美しいテナーサックスの音色を奏でます。この音はもはや前人未到の地だと思います。

さて現在も精力的に活動されているチャールズさん(最近はFacebookを始めた模様)。
ちなみに彼は、僕の一生のうちに一度は観たい演奏家のトップ3のうちの1人です(後の2人はB.B.KingとRavi Shankar)。よい演奏家さんはいつまでも元気でいてもらいたいものです。

岡田


2012年10月11日木曜日

Hill,Barbata,Ethridge - L.A.Getaway


どーん!!!
いやはや、なんてかっこ良いジャケットでありましょうか。
久々にジャケ買いしてしまいました。



「L.A.Getaway」なんて全くなじみの無いバンド名だったので早速家に帰り資料を集めてみると裏ジャケに映るこの2人はお馴染みのセッションマンでした。

セミアコベースを抱えた渋い出で立ちのこちらのお方は、

Gram Parsons率いるThe Flying Burrito Brothersのオリジナルメンバーであり、Ry CooderやRandy Newman、後期のDoorsなど、くせ者ミュージシャンたちを陰で支えたChris Ethridge。

Ron Wood似のドラマーさんは、

CSNYの「4 Way Streets」が録音されたツアーに同行し、その後も彼らのソロワークでちょいちょい顔を出しているJohn Barbata。

そしてジャケットには写っていませんが、Dr.JohnやLeon Russell、Booker T Jonesなんかもゲストで参加、Dan Pennは曲提供でクレジットされています。

さて肝心の中身ですがこれだけの面子がそろって外れな訳がありません。最高であります。

気心知れたミュージシャンたちが集まり自分たちの好きな音楽を好きな様に演奏したようで、リラックスした雰囲気が全編に感じられます。しかしここはスワンプを代表するセッションマンが集結した1枚。ただのセンションアルバムには終わらず、各楽器の絡みなんか聴いているとかなり作り込んである風に聴こえます。

とあるブログで「ディドリーの曲で幕をあけ、トゥーサンの曲でしめくくるなんて、なかなか洒落たことをやってくれますね」と語っている方がおりましたがまさしくです。

個人的にはやはりDan Pennの「Long Ago」がベストトラック。


ちなみに「L.A.Getaway」はアルバム名であり、アーティスト名は彼らの連名「Hill,Barbata,Ethridge」が正しいよう。


さてジャケ表面に写る長髪、614のいかにもなルックスのJoel Scott Hillさんですが、このネット全盛時代にも関わらず「L.A.Getaway」以外の情報はあまり得られませんでした。


岡田


2012年10月8日月曜日

森は生きているのライブ情報


2012.10.22 (月)
吉祥寺曼荼羅 
connection vol.4」
Open:19:00/Start:19:30¥500+2D(¥1,000)
Host:aladdin9 Guest:森は生きている / BRIGHT SIZE RHYME Dj:Fresco

2012.11.21 (水)
渋谷7th FLOOR http://7th-floor.net/
「新・わか(うた)ものたち」
時間料金未定
出演:花と路地 / 森は生きている / 足高彩子 / よよよ い 他

2012.12.7 (金)
高円寺ペンギンハウス
「楽しい夜更かし」
Open:19:00/Start:19:30¥1500+1D
出演:ゆるさ / 森は生きている


11月の7th floorのライブで初の音源を売り込む予定であります。
アナログ盤なら33回転10inchくらいのボリュームになる予定です。

ちなみにすべてのライブはmoriwaikiteiru2011(a)gmail.com から予約できます。

是非ぜひ〜


Marc Benno - Minnows

10月も早々1週間が過ぎ去ってしまいました。

大学3年僕はこの冬から就活の時期になり、なんだか身の回りの事にについて考える事が多くなってきました。

今日もバイトだったのですが、とあるお客さんに挑発的なことを言われさすがに腹が立ち大人げなく乗っかってしまい店長にこっぴどく叱られてしまいました。きっと「僕は悪くないのに...」って言うのが社会に出るとどんどん通用しなくなるんだなと思い、「なんだかやるせないなあ」なんて中学生みたいな事を考えていました。当たり前の事なのでしょうが...

世界有数のサービス大国、経済大国は働き手の人権を無視して成り立っていると思い、なんだかこの国の自殺率なんかを見ると本当に滑稽に思えます。生真面目な民族故のなんたらなんでしょうか...

まあしかしそんな事はどうでもいいです。僕はたとえそれが通用しないにしても自分に正直に生きたいと思います。

最近のお気に入りの言葉で「武士道とは如何に死ぬ事と見つけたり」というのがあります。先日ペダルスチール奏者の駒沢裕城さんにお会いする機会がありまして、その時頂いた言葉なのですが、商業的なものからは離れて我が道を、前人未到の地を切り開こうとしている方が言うととても深みを感じました。


そんな事を考えながら庭で煙草をふかしていました

Marc Bennoの「雑魚」というレコードを聴きながらです。

僕の大好きなJesse Ed DavisやClarence White、面白い所でソウル畑のBobby Womackなんかも参加しています。

スワンプの名盤という事ですが、泥臭い南部ロックというよりは繊細で内省的な音を聴かせてくれます。当時の若手のミュージシャンが集まって作った作品。若者たちのエネルギーは半世紀近く経った今でも力強く感じます。
きっと彼らは小指の爪ほどの迷いもなくこの世界に飛び込んで行ったんだろうなあ、なんて想像してしまいます。

そして「Minnows」を当時「雑魚」と訳した日本人もなかなかセンスを感じます。「雑魚」を世間的に価値のない魚というなら、世と別の次元で桟橋に腰掛け音楽を作っていたMarcもその1人なのだろうし、僕自身もその仲間に入れてもらいたいものです。

岡田