2013年8月11日日曜日

Folke Rabe - Was?? (WER 60047)


 「芸術は反発とユーモアの中から生まれるのだ」と、常日頃、信じている。


 「Was??」。北欧ノルウェイ出身の音楽家Folke Rabeの67年作。ドイツの現代音楽を主に扱うレーベル「wergo」より。最初のミニマルドローンではなかろうか
 
 ライナーがなかなか興味深かった。所々かいつまみながら


 Rabeについて。写真左の人物。

 1935年生まれ。そのキャリアはジャズオーケストラのトロンボーン奏者として始まる。

 その後ストックホルムの音楽学校で作曲を学んだ。瞬く間に才能は開き、室内楽奏者として各地の国際音楽祭で演奏、指揮者として活躍。作曲家としては室内楽、合唱曲、ラジオやテレビの放送音楽、そして電子音楽を。さらに詩作、ダンサー、俳優として舞台に立つ事もあった。

 彼の音楽学習はいわゆる近代ヨーロッパ音楽の技法とは全く無関係な地点から始まったのだろう。彼は多領域に渡る幅広い実践活動から、自身の音楽世界を育んだのであろう。



 LPではA面まるまる25分間、電子音が鳴り響く。彼にとっての音楽は音響現象そのものの体験、鳴り響く音そのものに聴き入る事を切り離しては成立し得ない。記譜法に依存して意味を獲得するようなヨーロッパの伝統的な芸術音楽のあり方を疑問と思った。世界にはもっと多様な音楽のあり方がある。そして当然、実際に響く音に聴き入る事のみが意味と価値を生み出すような音楽にとっては、従来の「ひとりよがり」なヨーロッパの音楽観は無縁の存在となる。


 さて本作にあらためて針を落とそう。

 ハーモニックな響きで作られている。少しずつ入り乱れ、移り変わりを繰り返して変化していく。機械は本来筋肉を持たないが、この豊かな響きに「息づき」を見た。
 Rabe自身ハーモニックな響きを選んだのは「そこからたっぷりとした心地よさが生じるからであり、さらに部分音がその響きの内部での物理的相互作用によってある種の幻覚作用を生むからだ。」と、とめどなく続く響きという形態をを選んだのは「おだやかな響きの中にひたっての発見の旅を可能にするるためであり、またまさしくそういった素材の中から作曲したからだ。」と述べている。


LPは持っていたが、半分のテンポに落とした50分版「Was??」が収録されているCDを海外から取りよせた。

岡田

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