2013年4月15日月曜日

Eberhard Weber - The Colours Of Chloe


 ECMほどベーシストという言わば「縁の下の力持ち」にスポットをあてたレーベルは無いのではないか。

 Dave Holland、Arild Andersen、Gary Peacockなどと並びECMを代表するベーシストの1人ドイツ出身Eberhard Weber。

 Pat Methenyの2nd「Watercolors」、Ralph Towner「Solstice」で聴ける、Jaco Pastoriusのそれとは全く異なる趣のエレクトリックフレットレスベース(Weberは縦弾きアップライト)を奏でてる人と言えばピンとくる人もいるか。



 こちらは74年作ジャケットは妻Maja Weber によるもの。良いジャケ。

 Weberによるコントラバスとチェロのスピリチュアルな多重録音1人弦楽奏に始まり、中盤でお馴染みの音色5弦アップライトベースのソロにピアノ、ドローンが絡んでいく1曲目「More Colours」
 
 2曲目は「The Colours Of Chloe」。こちらも弦楽奏で始まるものの、ここでドラムが入りだんだんとジャズ風...むしろ後ろで薄く鳴るムーグはポスト音響派以降のようで。印象的なテーマを奏でるムーグの音なんかは後にPat Metheny Groupの色を決定的にするLyle Maysのよう。いや一聴電子音に聴こえるこの音、クレジットに載るWeberのオカリナなのかな...
 このアルバムで最もポップな印象。数あるECMの名曲の中でも個人的に10指に数えられるお気に入り。
 
 そしてまたもや重奏な弦楽奏で始まる、3曲目は「An Evening With Vincent Van Ritz」。突然鳴るリズミカルな4ビート。ベースラインとフリューゲルホルンはキレキレ。ここでA面終了

くるりとレコード盤をひっくり返し...

 B面は20分の大曲1曲のみ。4曲目は「No Motion Picture」。五月雨の如く続くエレピ、シンセによるミニマルなフレーズ。
 白夜夢をみてるかの如くいろいろな景色、風景が現れては消える。そして、またイントロのフレーズに戻る。そしてまたいろんな幻想が次々と。美しくも幻想的な。そしてまたミニマルフレーズに戻る。実にプログレッシブな1曲。聴き応えありやす。

 とA面3曲、B面1曲入りという構成。



 裏ジャケにはお馴染み共鳴胴の無い5弦アップライトベースを操る師の姿が。


    
 今月は個人的にECM月刊とし、同レーベルのレコードを十数枚購入したが、粒ぞろいのECM作品群の中でも個人的にもっとも印象に残る作品となった。

 エレクトロニカ、ポストロック以降の耳にこそ改めて新鮮に響く音楽だと思う。

岡田

2013年4月12日金曜日

Robbie Basho - Venus in Cancer

「古池や 蛙飛びこむ 水の音」なんて句を詠んだ俳聖がいた。俳諧師「松尾芭蕉」は日本人だけでなく、海外の人からも注目度は高い様で、とりわけケルアックやギンズバーグなど、東洋思想に強い関心を示したビート作家たちの多くもリスペクトしている。

 Daniel Robinson, Jr. もビートジェネレーション、ビートニク最盛の50年代アメリカで青春時代を送り、東洋思想に触れ、更には日本文化に影響され絵画や作詞を始めた根っからのビート青年であった。大学3年生の時メキシコ製の12弦ギターを手にし音楽の才能を開花させた。
 
 日本文学の一つ、俳諧に魅せられ青年は、自国のフォークミュージックと、東洋思想を融合、アメリカの広大な大地を感じさせる牧歌的雰囲気を感じさせつつ、日本独特の美意識の1つである『わび・さび(侘・寂)』を彷彿とさせるような新たな仙人世界を切り開く。そして青年は、自らを「Robbie Basho(芭蕉)」と名乗る。


 こちらは1969年作。ベールは68年に設立されたばかりのBlue Thumb Records。ちなみにその音楽性からも納得、John Faheyとの交流もあり1stからその後何枚かはTakomaより発表。



 A面1曲目タイトルにもなっている「Venus in Cancer 」から既にその精神世界は渦を巻く。サティにも通ずるようなアンビエントな世界感。しかし安易なヒーリングミュージックと一線を画すのはその精神性「侘、寂」のも再構築されたものであるからか。

 まるで12弦ギターを和琴のように操るA面3曲目なんかはもろに日本文化に影響されたであろうもの。


 まさに、仙人のようだ。山小屋に一人こもり、この世の事象あらゆる事を見極め、そして山も川も大地も水も、あらゆる自然を愛したピュアな仙人。

 その後もコンスタンスにアルバムを発表、80年代はレーベルとの契約も切れたものの自主制作のカセットテープなども世に出したが、惜しくも志し半ば86年にひっそりと亡くなる。

 同志John Faheyは90年代に入ってすぐジムオルークの影響もあり再評価されたのだが、Bashoは2000年代に入るまで長らく忘れ去られた偉大なる音楽家の1人となる。

岡田

2013年4月11日木曜日

Archimedes Badkar - Archimedes Badkar II

  先日、友人の勤めるレコードへひょこりと遊びにいった時に、「おもしろいのあるよ」とおもむろにターンテーブルに乗せられたのがこの一枚。

 何とも捕らえ所の難しい作品であるが少し文章を書いてみる。

 
 1972年に北欧はスウェーデン、ストックホルムで結成された大所帯バンド。スウェーデン地下音楽、即興コミュニティーの中で結成された。

 Don Cherryが70年代初頭に北欧ジャズ行脚した際、彼らと交流している模様。
 
 北欧トラッド、フォークからプログレ、アフロ、中近東、ラーガ、バルカン、果ては現代音楽、チェンバー、ミニマル(そういえばDon Cherryとの競演ではTerry Raleyの楽曲が取り上げられていました...)、ドローンまで、地球上の音楽すべてを消化したしたといっても過言ではない...というと言い過ぎかもしれないがとにかく凄まじいチャンポン感。

 そして本作は最も実験的と言われている(?)2枚組2nd、76年作。


いやはや見開きがいがあります。下段に写るメンバーのツラの良さがまんま音楽に現れていると感じる。

 エスノ香るマンドラかオウドかの音色が、そしてチェロのドローン、アフロパーカッション、針を落とし1分もすれば部屋の中は宇宙空間に。頭の中で「とかとんとん」が鳴り出す。

 そういえば、近年CDで再発された幻の1stはジムオルークが解説を書いたそうで。

岡田

2013年4月6日土曜日

4月の演奏


2013/04/24(水)
fanfare」supported by WAIKIKI RECORD
渋谷7thFLOOR
open 18:30 / start 19:00  
adv ¥2300/door¥2800 +1D
出演: mori wa ikiteiru、ワンダフルボーイズ 、MILKBAR
DJ:坂本陽一(ELEKIBASS / WAIKIKI RECORD)


2013/4/26 (金)
Range life8 
南池袋ミュージックオルグ  
出演 : mori wa ikiteiru、ランタンパレード、samoedo、and more...


2013/04/27(土)
「ミラーボールミュージック」
渋谷O-WEST、nest
open 14:00 / start 15:00  
adv ¥3500/door¥4000 (ドリンク別) 
出演 : mori wa ikiteiru、 吾妻光良 & The Swinging Boppers、在日ファンク、neco眠る、uri gagarn、シャムキャッツ、ANATAKIKOU、YeYe (band set)、THE OTOGIBANASHI’S、他...
http://shibuya-o.com/west/2013/04/17210


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