ECMほどベーシストという言わば「縁の下の力持ち」にスポットをあてたレーベルは無いのではないか。
Dave Holland、Arild Andersen、Gary Peacockなどと並びECMを代表するベーシストの1人ドイツ出身Eberhard Weber。
Pat Methenyの2nd「Watercolors」、Ralph Towner「Solstice」で聴ける、Jaco Pastoriusのそれとは全く異なる趣のエレクトリックフレットレスベース(Weberは縦弾きアップライト)を奏でてる人と言えばピンとくる人もいるか。
こちらは74年作ジャケットは妻Maja Weber によるもの。良いジャケ。
Weberによるコントラバスとチェロのスピリチュアルな多重録音1人弦楽奏に始まり、中盤でお馴染みの音色5弦アップライトベースのソロにピアノ、ドローンが絡んでいく1曲目「More Colours」。
2曲目は「The Colours Of Chloe」。こちらも弦楽奏で始まるものの、ここでドラムが入りだんだんとジャズ風...むしろ後ろで薄く鳴るムーグはポスト音響派以降のようで。印象的なテーマを奏でるムーグの音なんかは後にPat Metheny Groupの色を決定的にするLyle Maysのよう。いや一聴電子音に聴こえるこの音、クレジットに載るWeberのオカリナなのかな...
このアルバムで最もポップな印象。数あるECMの名曲の中でも個人的に10指に数えられるお気に入り。
そしてまたもや重奏な弦楽奏で始まる、3曲目は「An Evening With Vincent Van Ritz」。突然鳴るリズミカルな4ビート。ベースラインとフリューゲルホルンはキレキレ。ここでA面終了
くるりとレコード盤をひっくり返し...
B面は20分の大曲1曲のみ。4曲目は「No Motion Picture」。五月雨の如く続くエレピ、シンセによるミニマルなフレーズ。
白夜夢をみてるかの如くいろいろな景色、風景が現れては消える。そして、またイントロのフレーズに戻る。そしてまたいろんな幻想が次々と。美しくも幻想的な。そしてまたミニマルフレーズに戻る。実にプログレッシブな1曲。聴き応えありやす。
とA面3曲、B面1曲入りという構成。
裏ジャケにはお馴染み共鳴胴の無い5弦アップライトベースを操る師の姿が。
今月は個人的にECM月刊とし、同レーベルのレコードを十数枚購入したが、粒ぞろいのECM作品群の中でも個人的にもっとも印象に残る作品となった。
エレクトロニカ、ポストロック以降の耳にこそ改めて新鮮に響く音楽だと思う。