2012年9月15日土曜日

はっぴいえんど - Happy End

専ら日本語ロックなんて蔑ろに音楽を聴き続けて来ました。

高校生になると、ぽつぽつオリジナル曲を演奏する同じ世代のバンドが現れ始めました。
自分の音に、自分の言葉をのっけて歌う彼らの姿は、偽コンボジャズバンドで歌無し曲を演奏していた僕にとって、かなり衝撃的でした。

そして例の如く負けず嫌いな僕は「おれもやったろやないか」と思い立ち、まず資料集めに今はなき国立のdiskunionへ向かいました。

「はっぴいえんど」という魔法の言葉のような名前のバンドは昔雑誌で見て記憶に残っていました。白地に4人の男のむさい顔が浮かび上がっている絵と共に。

さて「ふうがいろまん」買うぞと!(「かぜまち」と読むと知るのは半年後)意気込んで「は」のCD棚の前へ、「はっぴいえんど」欄を見つけかがみ込むと、1枚のCDが背表紙を覗かせていました。手に取るとそれは「むさい男たち」の顔でなく、50sアメリカン、「例のブツ」よりは大分清涼感のある男女のアップ写真でした。

うーむと考え、手ぶらでレコード屋を出るのも癪なのでその一枚をお土産にして行く事にしました。

その帰り道「日本語ロック、歌詞を書くには本を読まなならん」と思い、近所の本屋でS.キングの「スタンド・バイ・ミー」と村上龍さんの「限りなく透明に近いブルー」、そしてこのアルバムを聴く度になぜかイメージの重なる、村上春樹さんの「ノルウェイの森」を買ったのでした。「朝の読書週間」に「ドラえもん」を読み続けた僕には初めての読書体験でした。

さてその内容ですが1曲目「風来坊」では管楽器が入っていたり、全編通して程よいブラックフィーリンが感じられたり、当時ソウル、ジャズ狂だった僕には取っ付きやすい一枚でした。いきなし「風街ろまん」からはいっていたら、また違う感じ方をしたかもしれません...

録音は西海岸ロスの「サンセットスタジオ」にて。隣の部屋では丁度、リトルフィートのあの名鑑の録音が行われていたというのは有名な話。

そして実はこれが今でも僕の「ベストはっぴいえんレコード」でもあります。もちろん前作「風街ろまん」は誰も文句の付けようのない世紀の名鑑。この次のティンパンの「キャラメルママ」、そして大滝さんのソロ作も、のちのCity Popの記念碑的作品、大名鑑であります。

しかし僕はその名鑑に挟まれた、フォーキーでメロウで、泥臭さも感じさせながらも洗練されたこの1枚がとてもお気に入りです。

岡田





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