2014年12月13日土曜日

年間ベスト廃盤レコード2014(その1)

あれよあれよという間に年の瀬。今年の記憶は、幾つかのレコーディング現場にいたこと、ミックスしてたこと、友人達と安酒を煽ったこと、本を読んだこと、そして音楽の研究をしていたこと、その位しか残っていないな。

高校生のバイト代に毛が生えたような賃金で生活をやりくりしている我々にとって「no music,no life」ではなく、「no life, no music」といった方がよっぽどしっくりくると。嗚呼、我が印税よ、あっという間に跡形もなしですよ。ご飯もろくに食べずにレコードを貪ったかいあって、今年1年間で200枚近くのレコードを手に入れた。すなわち、2日に1枚以上買っている計算か。でかした自分!

今年も個人的に印象深かった「廃盤レコード」を幾日かに分けて紹介したいと思う。「年間ベスト廃盤レコード」

マッチ箱に(劣悪な音質の)音楽をスマートに詰め込む事が出来る昨今の音楽所有のあり方の中、わざわざ31×31cmもの巨大な円盤を阿呆のように部屋に積み上げている理由はなんだと思ったが、2007年のユリイカで敬愛する音楽家、大友良英氏が面白い事を語っていた。ぼく自身がレコードとして音楽を手元に置いて起きたい理由を意図せず気づかされたようだ。07年と14年、社会的な意味合いで音楽所有のあり方は何一つ変わっていない。それどころかどんどん悪化していく一方…いや、言いたいことはこんなことではないが、時代と発言の誤解のようなものを招くかもしれないが、それはぼくの独断と偏見によるユーモアとして許して頂きたい。
文脈としてはmp3の問題点、疑問点について議論している。mp3の音は酷いといった話をした流れでここからがぼくにとって重要な話

「個人的な考え方だけれど、音楽を小さい入れ物に入れていつでも自分と一緒に持ち歩く必要はないと思う。音楽は所有するものじゃない。音楽は所有するものでなくて、自分と他者との関係を作るものだと思っている。オレはアナログコレクターではないけれど、レコードが好きなのは、それをプレイヤーにかけて聴くまでのプロセスがあるってことと、特に以前は、それを一人で聴くものではなく、誰かと聴くものだったという点です。」

ぼくは数少ない仲間と一緒に「ああでもない、こうでもない、これ笑えるよな!最高!」なんてお酒を煽りながら深夜にレコードを聴くのが大好きだ。

一つ思い出した話を。ちょうど今年の夏頃、いつものように増村邸にて、増村と友人のソングライター花枝明くんと一緒に音楽を聴いていた。お酒は回ってきた深夜2時過ぎに、おもむろに増村がアフリカへ行く友人から譲ってもらったという、ペーターブロッツマンの「マシンガン」を取り出した。これは世界でも指折りの人力爆音フリーインプロ。とにかく重機関のように管楽器を中心としたオクテットの演奏が絶え間無く鳴り響く。鳴り響きまくる。そんな爆音戦車に耳を傾けていた花枝が、ふと口をついた「あー、でもこれ、aっていうパートがあって、bっていうパートがあって、aでbでaでbで…なんか凄くポップでいいね!」と。今年五本の指に入る位笑った。笑った。

レコードなんて普段は部屋で1人になって聴く事が多いけれど、なんか得体の知れぬ凄まじきレコードを引き当てた日には、この事を誰かに無性に話したくてしょうがなくなる。もし運良く仲間をつかまえ、この得体の知れぬ正体についての議論が始まったなら、それは僕たちはその作品に関わる事が出来たと言って良いだろう。そう、音楽を聴くという行為は受動的に終わるべきでなく、そこで起きている事に関わるのは全く可能なんだ!

前置きが長くなりましたが...それではここから
順位はあえて付けない。そんなのその日の天気によって変わってしまうじゃないか!
手始めに、まず15枚...



Altaba / Cervera / Perucho / Nico / Sole ‎– Tropopausa 
Label: Zeleste Concert ‎– UM-2056  
Country: Spain 
Released: 1979


Edward Ka-Spel ‎– Khataclimici China Doll 
Label: DOM V 77-12
Country: Germany
Released: 1988


Ralph Sauer – Ralph Sauer Plays Music For Trombone By Milhaud, Persichetti, Bassett And Pergolesi
Label: Crystal Records (5) ‎– S381
Country: US
Released:1976


Didier Bonin ‎– L'Air Lumiere
Label: Not On Label
Country: France
Released: 1982



Shankar Jaikishan* ‎– Bombay Talkie 
Label: Odeon ‎– EMOE 2002 
Country: India 
Released: 1970



藤原義江,山田耕筰 ‎– からたちの花
Label: Colombia ‎– 25167
Country: 日本
Released: mid1920


Led Zeppelin ‎– Presence
Label: Swan Song - SSK 59402
Country: UK
Released: 1976



Otomo Yoshihide ‎– The Blue Kite - Original Motion Picture Soundtrack
Label: Trigram ‎– S & T 001 
Country: Japan 
Released: 1994


Sven-Åke Johansson ‎– Idylle Und Katastrophen
Label: Po Torch Records ‎– PTR/JWD 06
Country: Germany
Released: 1980



F:A.R. ‎– Presto I Topi Verranno A Cercarci
Label:  Amen - THX 1138
Country: Italy
Released: 1987


Pearls Before Swine ‎– Balaklava
Label: ESP Disk - 1075
Country: US
Released: 1968



Iverson and Walters ‎– First Collection
Label: Eagle Records - SM4188
Country: US
Released: 1984


Loren Mazzacane Connors & Kath Bloom ‎– Sing The Children Over
Label: Ambiguous ‎– AMB-002
Country: US
Released: 1982



Shona ‎– Africa - Shona Mbira Music
Label: Nonesuch H-72077
Country: US
Released: 1977


Masahiko Togashi ‎– Spiritual Nature
Label: EW8013 
Country: Japan
Released: 1975


岡田

2014年5月9日金曜日

drink?

スピーカーから真理が鳴っても、言葉がバラバラになって雨のように降って来ても、サッシのレールが無限に伸びてその周りを漂えるならそっちに靡いてしまう性なのだが、お酒を飲みに行く蓄えもないので、斜め横からこっそり昔の面白い人達を覗いてみようなんて日々考えていたら、随分乱雑な観察日記ができあがりそうなので、ここら辺りで一つ纏めてみようかなと思っているところのものを少しだけ紹介。

〈小説冒頭傑作集〉
「自分は女に飢えている。」(『お目出度き人』武者小路実篤)
光源氏もびっくり、冒頭から強烈且つストレートな宣言だが、不器用なブ男の女に全くもって相手にされないお話である。自然主義文学を打倒しようとした白樺の代表作家の著者は、自然主義の作家達よりも尚自己にこだわり、そのこだわり方が恐ろしい程純粋であった。加えてあまり文がうまくなく、ブ男だった。なんていうか、キモい。キモいから売れた。相手にされない具合、文章の素直さ、顔、すべてが絶妙に絡み読者にいろんな感情を思い起こさせる。一部同感、応援、憐み、涙。自然主義の女自慢、病気自慢、貧乏自慢を赤裸々に語るスタイルや、谷崎の源氏物語的色好みを変態的に表したスタイルにみられる、モテない男の努力や自己客観性はそこにはなく、簡単に言うならもっとモテなかった。モテない人が悩み、女性を描くと売れたが、モテない人がモテないこと書くからそれも売れた(どれだけ売れたか知らないけど名前は誰もが知っているだろう)。近代以前を見ると元来物書きはモテるはずであったような気もするからモテる男がモテる話を書いてもいいはずだが、ただ近代以降それは売れない。

「彼が嫌っていたのは、父の家ばかりではない。自分の妻子ーー殆ど十六年間に六人の子を産ませた妻と生き残っている三人の子ーーをも嫌っていた。」(『發展』岩野泡鳴)
赤裸々自慢の自然主義の中でも最も強烈且つ首尾一貫性を持つ作家の代表五部作の一作目だが、頭からなんと無残なことを言い出すのかと思いきや、こんなの甘っちょろくて、例えば、妾の元で暮らしている時、子供が病気で死にそうになっているから妻が居場所をやっとのことで見つけ家に帰ってきてくれと懇願するも、そんなものは大事ではないと妻を一喝し拳骨したり、その妾を夜更け暗がりから薄ら顔を見て、こいつは本当に人間かなどとほざく。こんな人でも一応教科書にも出てるし、当時流行作家だったらしい。男女が今ほど自由恋愛でなかった当時、慣習を完全に無視した考え、そして驚くほどそれが実行を伴った彼が書く、まさしく「私小説」といった点がうけたのだろうか。吉田精一氏は「かくて多くの欠点はあるものの、これは日本の近代リアリズムの一つの極致であると言える。この深刻無残な大小説に比べると「蒲団」その他の自然主義小説の多くがいかに甘ちょろく思われることだろう」と語っている。

「山の手線の電車に跳ね飛ばされて怪我をした、」(『城の崎にて』志賀直哉)
吹いた。とりあえず吹いた。嘘やん、て。武者小路実篤と同じ白樺の大作家だが、この人はうまい。超精密カメラ搭載のユーモア補正機能付き。ちなみに同じ白樺の里見弴の『善心悪心』では主人公の友人が山の手線に跳ね飛ばされるところを逃してはならない。


さて、月末からrecです。
増村和彦


2014年5月4日日曜日

Viva L.A. Rock!!!


 最近はもっぱら家レコ掘りに勤しんでいます。掘っても掘ってもセンス良い盤しか出てこないです。過去の自分グッドジョブ!

 個人的にDJ mixなんかして遊んでいます。





 今月のお尻から2枚目の録音が始まります。

岡田

2014年4月3日木曜日

Father John Misty - Fear Fun


 さて、最近は古いレコードは殆ど買ってません。(こないだZombiesとWest Coast Pop Art Experimental Band買ったけど...最高だった!)

 理由は2つあって、1つは、10枚買ってようやく1枚あたりが出る程度の6、70s自主盤を買うのが少し馬鹿げて思えた事。それより最近の海外のそこそこ名の知れたindie folkの方がよっぽどぶっ飛んでいて面白いと思ったから。

 もう1つは、はっぴいえんどみたいな曲をはっぴいえんどみたいに演奏するよりも、はっぴいえんどが当時、西海岸や英国のイケてる音楽をリアルタイムに取り入れ、そこに日本語を乗せ、日本人的な感覚で新たな音楽を構築したように、少しミーハーな事をしてみたいと思ったから。
 1枚目のアルバムを作った時、僕の体内時計は殆どシカゴ音響とYankee Hotel Foxtrotで止まっていたので、次のアルバムを作るに向けて今一度、感覚の更新をしたかった。そこで半ば強制的にシカゴからブルックリンに乗り換えてみた。

 これがなかなか面白くて、例えば高校生の頃適当に聴いていたアニコレなんかも、このフェイク(?)アフリカンな微妙なビートと、ぶっ飛んだエレクトロ使い、そして呪術的なミニマル感はShe Ye Ye系レコードを通った後の耳で聴くと面白い発見がたくさんあった。まさか2014年を向かえ、自分が「Tame Impala最高!」なんて言ってるとは思わなかった...そんな感じでpichforkとモンチコンブログを頼りに最近は新譜ばかり聴いています。(こちら2年前のレコードですが...)


  という訳でこちら。2012年の来日公演をもってFleet Foxesを脱退したドラマーJosh Tillmanのソロ名義「Father John Misty」での一作目。チャクラ開きまくりです。


 Josh TillmanはFleet Foxes在籍中、その前も、何枚かのアルバムを出しています。(Year In The Kingdomとかもスピってて最高です!)本作もこれまでの個人活動同様、ギター片手に男臭く色っぽい歌声を聴かせてくれますが、前作までの内省的なフォーク路線から一変、サイケデリックなグッドポップミュージック。キノコ的なモノに目覚めてしまったのでしょうか。


 Fleet Foxes脱退後、シアトルからハリウッドのローレル・キャニオンに引っ越し、そこでビートニク小説を読んだり、自身も一筆書いてるうちに今作の着想が生まれたそうな。そのとき書いたモノか、LPにはTillman作の小説が封入。


 これはキラーチューンですね。サイケという言葉はさておき、未来永劫普遍であろうポップなメロディー。この物足りないドラムが中央にいてその周りをストレンジなリバーブが掛かった楽器達が覆うこの感じがなんとなく今っぽい音に感じました。


 さて、最近の音楽を聴いている!といえど、真新しい音楽を聴いているというよりは、僕らと同様、6、70年代の音楽の影響を存分に受けたリアルタイムのインディフォークを聴いているといった感じです。「Buffalo Springfield」が「Johnny Cash」の影響を受けてないはずがない訳で、少し乱暴な言い方かもしれませんが「ファズとエコーを用いて、フォークに限らず、R&Bや現代音楽を通った耳でJohnny Cashの音楽を全く新しいものとして再構築したのがBuffalo Springfield」なのかも知れません。そしてTillmanやGrizzly Bearが「Buffalo Springfield」の影響を受けていないはずない訳で...新しい音楽はミュージシャンの根底にあるルーツ音楽をいかにストレンジな音響技術で鳴らすか、いかに他ジャンルとフュージョンするかの繰り返しだと思います。そう考えると最近のUSインディは近年ジャズ同様なんだかとても面白い動きをしているように思います。まあ1つのあり方として。

  そういえばFather John Misty名義で今年新譜が出るとかでないとか...気長に待ちます。

岡田

2013年12月27日金曜日

年間ベスト廃盤レコード2013(その3)



Dick Hyman Mary Mayo ‎/ Moon Gas / 1963
   スペースモンドの超名盤!世紀の珍盤!のっけからシーケンサーにエコーが掛かった世界初(?)のダブビートに頭イカれます。初期の電子音楽は現代音楽的な少し小難しいものが多いものの、本作みたくポップス的な何かに電子イディオムを落とし込んだのは、他にレイスコの「Soothing Sounds For Baby」くらいしか浮かびません。



Harald Sæverud, Jan Henrik Kayser ‎/ Harald Sæverud / 1981
   ノルウェーの作曲家Harald Sæverudの作品集。A面はピアノソロ、B面はピアノコンチェルト。特にピアノソロの方が素晴らしい。派手さはないのですが、5線譜にそって水彩絵具を垂らしていったかのような透明感のある澄んだ楽曲はこれまでに聴いた事の無い響きでした。




The Concert Co.,  ‎/ Something For Everybody's Mother/ 1974
   個人的に今年のキングオブ100円レコ。詳細は不明ですがライナーから...NYのヒッピーカルト集団が作ったミュージカル音楽のようですが、各所に散りばめられた美メロたちに拍子抜けしました。特に「みんなカリフォルニアに行っちまった」とか歌ってる(?)A-3は本当に最高すぎるので、お金持ちになったら7インチシングルカットしたいです。B面は組曲。


Alan Skidmore Quintet / TCB / 1970
   UKジャズの重鎮テナー奏者。モード、フリーで手詰まったと思われたそれまでのアフロアフリカンなジャズから吹っ切れ自分たちの言葉で自分たちの音楽に組み直した!というのにエネルギーを感じました。John Taylor Trioをバックにアグレッシブな演奏を聴かせますが、A-2でしっかり落としてくる辺がイギリス人らしくて憎いです。



Rabindra Danks / All I See Is You / 1973
   名門TakomaのSSW部門DEVIより発表された全2枚のレコードのうちの一枚。余りに大好き過ぎて自分が出たラジオで「好きな曲をかけて良い!」と言われたときはこれのA-1を回しました。ところで彼はこのアルバムを出して以来、音楽の世界から足を洗ってしまったようで消息がわかりませんが...日本在住のポップアート画家に同姓同名の人物がいるので、まさか....



Kevin Roth ‎/ Somebody Give Me Direction / 1976
   アメリカの良心Folkwaysより。ダルシマー奏者、SSW。小編成のフォーキーで地味な演奏に彼の男臭いボーカル、実に味わい深いその余韻に浸りながら盤をひっくり返せば聴こえるダルシマーに絡む(Weather Report期のZawinulみたいな)moog!肩すかしを食らいます。一歩間違えてるものの、いやこれが絶妙にかっこよい。それからまた何事も無かったようにアコースティックな演奏に戻ります。




László Sáry ‎/ The Voice Of Time / 1990
   ハンガリーが誇るミニマルの巨匠László Sáry。国営レーベルから発表されたとはにわか信じ難い。A-1の爆音ミニマルは完全にとんでます。A-5の口笛が入る静かなピアノの小曲もおもしろい。他にも女性コーラスによるミニマルカノンやシンキングボールを使った瞑想音楽など...ラストのストリングス曲は短いドローンがひたすら繰り返され静かに境界が淀んでいきます。


Alain Goraguer ‎/ La Planète Sauvage / 1973
   René Lalouxのアニメ映画「La Planète sauvage」のサントラ。音楽を手がけたAlain Goraguerはもともとバップなど演奏していたピアニスト、アレンジャーだが、ここで聴けるのはアニメの世界を体現したヘビーサイケプログレ。



 Archimedes Badkar ‎/ Badrock För Barn I Alla Åldrar / 1975
   今年の収穫と言えばやはりこのバンドとの出会いであります。60年代、ドルフィーやオーネットなどアフロアメリカンのフリー系ミュージシャンが欧州へ傾れ込む。ここで現地の若いミュージシャンたちに与えた影響は図りし得ない。BadkarのメンバーたちはDon Cherryが北欧スウェーデンで活動していた際に交わっている(この時の映像が奇跡的タージマハル旅行団の記録映画の一コマに残されている!)。そんなスウェーデンのアンダーグラウンドなミュージシャン、Per Tjernberg、Bengt Bergerなどを中心に結成されたのこの世にも奇妙な音楽を奏でるバンド。北欧トラッドからバルカン音楽、アラビア音楽、アフリカ音楽、フリーインプロ、ミニマル、ジャズ、ロック、フォーク、サイケ...半端じゃない完成度のチャンポン音楽。
 さてさて一般に世界中のあらゆる音楽を呑み込み昇華させた2ndが名盤と誉れ高いですが、この荒削りな1stも最高です。音楽的な含みも然ることながら、音響遊びさせてもセンス良いです。ちなみにA面B面ともに最後にループトラックが刻まれています。うーんこの音楽リアルタイムにどう評価されたのか興味深いです。




Judee Sill ‎/ S.T. / 1971
   最後の一枚はこちら。今年のご褒美に買いました。



 というわけで、今年入手した廃盤レコードから選んだ「年間ベスト廃盤」はこれで30枚出揃いました。レコード買うために不規則な食生活を余儀なくされ今年は常に風邪を拗らせていました。もう少しレコード以外の事も考えられれば幸せになれたのかなと思いましたが、これはこれで悪くないです。

岡田


2013年12月21日土曜日

年間ベスト廃盤レコード2013(その2)


 昨日に引き続き10枚ほど。


Moolah ‎/ Woe Ye Demons Possessed/ 1974
   NYのデュオ。生楽器とテープやエコーを用いた理解不能の(エセ?)宗教コズミックミュージック。渦巻くサイケデリックに「汝は悪魔に取りつかれた…」。



Arbete & Fritid  / Hall Andan / 1979
   スウェーデンのMNW界隈の兄貴分のラストアルバム。ラリライサイケからアメリカーナを思わすグッドフォーク、ジャズロック、ミニマル、即興、グループのこれまでのキャリアを凝縮したかのような密度の濃い内容。バンド名の訳は「労働と余暇」。



 Albert Marcoeur / S.T. / 1974
   フランスのザッパことAlbert Marcoeur 。友人のアメリカ人ミュージシャンに薦められた一枚。「マジアレンジクレイジーダヨー!ビョーキミュージック!」とか言ってたっけ。おならの音とかすごいよく録れてる。



Annette Peacock / Sky-skating  / 1982
   Paul Breyとの電子ジャズアルバムをはじめ、多くの珍盤を世に送る特殊シンガー。She Ye Ye Recordsのレビューで「全編まるで100年の時空を越えて響いてくるようなセピア色のメランコリーに満ちた夢の世界。」と紹介されているが、まさにそんな音。不思議なレコードです。是非再発を!



Samuel Barber, Ned Rorem / Songs of Samuel Barber and Ned Rorem / 1978
   アメリカ音楽の200年間を100枚のアルバムでまとめ上げるというテーマのもと、1975年に設立されたNew World Recordsより。アメリカを代表する2人の作曲家の作品を一面ずつ収録。透明感のある美しい楽曲たちは21世紀も色褪せません。



Entourage Music and Theatre Ensemble / S.T. / 1973
   謎の音楽集団。中世古楽ともミニマルミュージックとも似て異なる神秘的な彼岸ミュージック。傑作!



Led Zeppelin ‎/ Houses Of The Holy / 1973
   いわずと知れたスタジアムバンドの名盤。今年は中学生ぶりにこのバンドをよく聴きました。ジミーは本当に素晴らしいアイデアマンと感じる。。最高!!!


C.O.B. / Spirit Of  Love / 1971
   ブリティッシュフォークの名盤。アフリカや中近東での旅で体現したトランス感覚。侘び寂びのシンプルな楽曲たちが深い酩酊感を与える。



Nels Cline & Eric Von Essen ‎/ Elegies / 1981
   Wilcoの賛否両論リードギタリストの初リーダー作。全編アコースティックギター片手にコンテンポラリーな演奏を繰り広げる。これを聴くとNelsの印象が大分変わるかと...


Gene Nordan / Drinkin' Wine In The Summer / 197?
   詳細不明のピアノSSWの自主盤。お金があったらいわゆるA&M的大袈裟なソフトロックなんかやったのだろうが、ロウナーなSSWに潤沢な制作費がある訳でもなく、、しかしそれが絶妙な塩梅を効かせていたりする盤が100枚に1枚くらいあるのがマイナー盤の面白いところのひとつ。ここに納められている「Thinkin' Of You」という曲がとにかく秀逸であります。ちなみに、僕の持っている一品はご本人(?)のサイン入りです!

2013年12月20日金曜日

年間ベスト廃盤レコード2013(その1)


  今年もたくさんレコードを買いました。その中でも気に入った盤を10枚ずつ、3回くらいに分け、年間ベスト的なノリで簡単に紹介してみようと思います。誰も得しないのは百も承知で、年内、気が向いた時に書いていこうと思います。

 今年は出来るだけ聞いた事も見た事も無い、ジャケット眺めただけで頭が飛んでしまいそうな盤を努めて収集して参りました。どこか人見知りでお世辞にも優等生とは言い難いけれど、アシッドでユーモラスな愛すべき盤たちがこの世には星や塵の数ほど存在するのに気づかされました。いやはや、レコード飽きるより先に寿命が尽きるのだろうな。

 本来年間ベストなるものはジリジリ順位付けされるが当然だが、音楽評の順位なんてそんなの毎日気分によりけりだし、なんせ面倒なので割愛。仲良く30枚並べて行こうと思います。それでは
                                          岡田


  Sanger Om Kvinnor / S.T. / 1971
   スウェーデンのヒッピー歌劇集団Fickteaternによる女子フォークバンド。MNWから発表。 Archimedes BadkarのBengt Bergerや、Arbete och FritidのTord Bengtssonらが参加。


 Monte Dunn & Karen Cruz / S.T. / 1969
    米セッションミュージシャンMonte Dunnが妻と組んだデュオ。ソフロ、フォーク、ボッサ。A-4はミラクルソング!Bruce Langhorne、Hal Blaine参加。


  Sindelfingen / 'Odgipig / 1973
   プライヴェート・プレスのオリジナル盤はわずか99枚しか作られなかった(もちろんこちらはリイシュー)。英のフォークロックバンド。バロックやジャズ的要素を取り入れた個性的すぎるセンスは今聴いてもかなりオルタナ。


  Michał Urbaniak Constellation / In Concert / 1973
   ポーリッシュジャズシリーズ。ジャズバイオリン/サックス奏者のライブ盤。バンド全体はエレクトロマイルスの影響大だが、Patty Wataers張りの気狂いボイスを出してみたり、謎のぽこぽこパーカッションを奏でる妻の存在感大。


  Roger Shriver / S.T. / 1972
   レーベル創設者のGary McFarlandが 1971 年に急逝し、存続が怪しくなっていたSkye最後のリリース作。腕利きの都会的なセッションマンに囲まれると、妙にイナタく感じるRogerは当時24歳の学生だった。


  Emerson's Old Timey Custard-Suckin' Band / S.T. / 1970
   世紀の奇人変人レーベルESPより発表された、何の変哲もあるブルーグラス。


  ORA / S.T. / 1969
   UKフォークグループ。こちらも自主盤とは思えぬクオリティーの高さ。浮遊感。


  Rena Rama ‎ / Jazz I Sverige /1973
   我らがBengt Berger、ECMなどで既に作品を残していたBobo Stensonなど参加。北欧らしいモーダルなジャズロック。所々匂わすオリエント感はプロトBadkar。


  Karen Dalton / It's So Hard To Tell Who's Going To Love You The Best / 1969
   アシッドフォーク名盤。A-1は今年のベストトラック。


  
Elodie (Timo Van Luijk & Andrew Chalk) / Echos Pastoraux / 2011
   バグパイプ、ギター、琴、フィールドレコーディングなど用いた瞑想ドローン。