2013年4月12日金曜日

Robbie Basho - Venus in Cancer

「古池や 蛙飛びこむ 水の音」なんて句を詠んだ俳聖がいた。俳諧師「松尾芭蕉」は日本人だけでなく、海外の人からも注目度は高い様で、とりわけケルアックやギンズバーグなど、東洋思想に強い関心を示したビート作家たちの多くもリスペクトしている。

 Daniel Robinson, Jr. もビートジェネレーション、ビートニク最盛の50年代アメリカで青春時代を送り、東洋思想に触れ、更には日本文化に影響され絵画や作詞を始めた根っからのビート青年であった。大学3年生の時メキシコ製の12弦ギターを手にし音楽の才能を開花させた。
 
 日本文学の一つ、俳諧に魅せられ青年は、自国のフォークミュージックと、東洋思想を融合、アメリカの広大な大地を感じさせる牧歌的雰囲気を感じさせつつ、日本独特の美意識の1つである『わび・さび(侘・寂)』を彷彿とさせるような新たな仙人世界を切り開く。そして青年は、自らを「Robbie Basho(芭蕉)」と名乗る。


 こちらは1969年作。ベールは68年に設立されたばかりのBlue Thumb Records。ちなみにその音楽性からも納得、John Faheyとの交流もあり1stからその後何枚かはTakomaより発表。



 A面1曲目タイトルにもなっている「Venus in Cancer 」から既にその精神世界は渦を巻く。サティにも通ずるようなアンビエントな世界感。しかし安易なヒーリングミュージックと一線を画すのはその精神性「侘、寂」のも再構築されたものであるからか。

 まるで12弦ギターを和琴のように操るA面3曲目なんかはもろに日本文化に影響されたであろうもの。


 まさに、仙人のようだ。山小屋に一人こもり、この世の事象あらゆる事を見極め、そして山も川も大地も水も、あらゆる自然を愛したピュアな仙人。

 その後もコンスタンスにアルバムを発表、80年代はレーベルとの契約も切れたものの自主制作のカセットテープなども世に出したが、惜しくも志し半ば86年にひっそりと亡くなる。

 同志John Faheyは90年代に入ってすぐジムオルークの影響もあり再評価されたのだが、Bashoは2000年代に入るまで長らく忘れ去られた偉大なる音楽家の1人となる。

岡田

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